急性毒性
経口
ラットを用いた経口投與試験のLD50値4,720 mg/kg(環(huán)境省リスク評価第6巻(2008))、12,800 mg/kg(IUCLID(2000))から、低い値4,720 mg/kgは國連GHS急性毒性區(qū)分5に該當するが、國內では不採用區(qū)分につき、區(qū)分外とした。
経皮
ウサギを用いた経皮投與試験のLD50値3,560 mg/kg(IUCLID(2000))は國連GHS急性毒性區(qū)分5に該當するが、國內では不採用區(qū)分につき、區(qū)分外とした。
吸入
吸入(ガス): GHS定義上の液體であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
吸入(蒸気): データがないので分類できない。
吸入(ミスト): 本物質の飽和蒸気圧濃度(20℃)は0.06 mg/Lである。マウスを用いた2時間吸入ばく露試験のLC50値4 mg/L(環(huán)境省リスク評価第6巻(2008)、IUCLID(2000))は、飽和蒸気圧濃度より大きい値であるためミスト基準を適用する。4時間換算LC50値は2 mg/Lなので、區(qū)分4とした。
皮膚腐食性?刺激性
動物については、ウサギを用いた24時間皮膚刺激性試験で、「irritating」(IUCLID(2000))との記述があるが、4時間より厳しい條件であるため使用できない。ヒトについては、皮膚刺激性試験で、「irritating」(IUCLID(2000))の記述があるが、3日間の連続投與試験であるため採用できない。以上より、データ不充分のため分類できない。
眼に対する重篤な損傷?刺激性
ウサギを用いた眼刺激性試験で、「角膜損傷を引き起こす」(Patty (5th, 2001))旨の記述がある。また、HSDB(2006)に、ウサギを用いた試験において「眼に対する損傷の程度は10段階中の2である(10が最も強い損傷)」旨、記述されている。以上から區(qū)分2とした。
呼吸器感作性又は皮膚感作性
呼吸器感作性:データがないので分類できない。
皮膚感作性:ヒトについては、Maximization試験で「not sensitizing」(IUCLID(2000))との記述があるが、List2の情報源であり、他にデータがないため分類できない。
生殖細胞変異原性
體細胞in vivo変異原性試験(ラット骨髄細胞を用いた変異原性試験)で「3.4%の細胞で異常が観察された」(IUCLID(2000))旨の記述があるが、結論は明記されておらず、一次文獻(Tsitol. Genet. 22 (1988))を調査したが、判定についての記述はない。また、in vitro変異原性試験(ネズミチフス菌を用いた復帰突然変異試験)で「陰性」(IUCLID(2000))の記述があるので分類できない。
発がん性
主要な國際的評価機関による評価がなされていないため分類できない。 なお、「7,12‐ジメチルベンゾ[a]アントラセンをイニシエーターとした雌マウスの60週間経皮投與試験で、本物質のプロモーター活性はweakからmoderate」(Patty (5th, 2001))である旨の記述があり、このデータについてIUCLID(2000)は「皮膚がんが観察され、皮膚乳頭腫のプロモーターである」と評価している。
生殖毒性
妊娠1-19日の雌ラットに飽和蒸気を吸入ばく露した試験で、「母ラットの體重、吸収胚、胎仔の體重、性比、外表、骨格、內臓等への投與に関連した影響はみられなかった」(環(huán)境省リスク評価 第6巻(2008)、JECFA(2006)、Patty (5th, 2001)、IUCLID(2000)、HSDB(2006))旨の記述がある。一方、妊娠1-15日の雌ラットに40%溶液を経口投與した試験で、「胎児毒性が報告されている」(JECFA(2006)、Patty (5th, 2001))とあり、一次文獻(Sov. J. Dev. Biol. 22 (1990))を調査したところ、「発育障害には水頭癥、水腎癥、骨化の抑制が含まれる」旨記述されているが、母動物に関する記述がなかったので、區(qū)分2とした。
特定標的臓器?全身毒性(単回ばく露)
「経口摂取では腹痛、喉や胸部の灼熱感、吐き気、嘔吐、吸入すると咳、咽頭痛を生じる」(環(huán)境省リスク評価 第6巻(2008))及び「Respiratory Irritations」(HSDB (2006))との記述から、區(qū)分3(気道刺激性)とした。 なお、「高濃度の場合、中樞神経系に影響を與えることがある」(環(huán)境省リスク評価第6巻(2008))との記述があるが、ICSC1490(2005)からの引用で濃度が不明であるため、採用しない。
特定標的臓器?全身毒性(反復ばく露)
ラットやウサギを用いた2ヶ月間吸入ばく露試験で、「200 mg/m3以上の群で血清のコリンエステラーゼ活性の低下、600 mg/m3 群で限局的な刺激癥狀がみられた」(環(huán)境省リスク評価第6巻(2008)、HSDB(2006))旨の記述があり、いずれも區(qū)分2のガイダンス値の範囲內であるが、データ不充分のため分類できない。
吸引性呼吸器有害性
「ラットに0.2 mLを誤嚥させたところ、9匹中9匹が死亡した」(Patty (5th, 2001))、「気管に入ると危険であり、少量(0.2 mL)では、炭化水素溶媒のような挙動を示す」(HSDB(2006))旨の記述がある。また、20℃での動粘性率を計算すると16.6 mm2/s(20℃)であり、40℃では20.5 mm2/s以下になると予想される。以上より區(qū)分1とした。