急性毒性
経口
ラットLD50値:1072mg/kg、2000mg/kgおよび2200mg/kg(IARC 65, 1996)に基づき算出された計算値は1187mg/kgであることから、區(qū)分4とした。
経皮
ウサギLD50値:>20000mg/kg(HSDB, 2005)であるが、ラットLD50値:>1157mg/kg(IUCLID, 2000、BUA 41, 1989)であることから、區(qū)分が特定できず、データ不足のため分類できないとした。
吸入: ガス
GHSの定義による液體である。
吸入: 蒸気
HSDB(2005)にラットLC50(4時間)値:>157ppm(換算値0.879mg/L)とのデータがあるのみで區(qū)分は特定できず、データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
IUCLID(2000)、BUA 41(1989)にラットLC50(1時間)値:>2.417mg/L(4時間換算値0.6043mg/L)とのデータがあるのみで區(qū)分が特定できず、データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ICSC(J)(2000)およびHSDB(2005)の皮膚を軽度に刺激するとの記述から、區(qū)分3とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ICSC(J)(2000)およびHSDB(2005)の皮膚を軽度に刺激するとの記述から、區(qū)分2Bとした。
呼吸器感作性
データなし。
皮膚感作性
データなし。
生殖細胞変異原性
體細胞を用いるin vivo変異原性試験であるラットおよびマウス赤血球を用いた小核試験で陰性の結果(NTP DB, 2005)があることから、區(qū)分に該當しないとした。
発がん性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。本物質について、DFGの分類はCategory 3である。しかし、DFGの分類は類似物質(4-ニトロトルエン)からの類推であること、本物質自體の証拠は疫學、動物実験ともに入手できないことから、分類には用いなかった。
【參考データ等】 (1)國內外の分類機関による既存分類として、DFGでは(2)、(3)のデータを踏まえ本物質の異性體である4-ニトロトルエン(CAS番號 99-99-0)と同じCategory 3(DFG MAK (2007))に分類している。その他、IARCではグループ3(IARC 65 (1999))に分類している。 (2)4-ニトロトルエンと本物質の代謝経路はほぼ同様であり、定性的および定量的に同様の作用を示す(DFG MAK (2007))。 (3)4-ニトロトルエンを被験物質としたラットを用いた2年間混餌投與による発がん性試験において、2,500 ppmで雌に陰核腺の腺腫及び/又はがんの有意な頻度増加、雄で皮下腺腫及び皮下の腺腫及び/又はがんの有意な増加がみられ、発がん性について、雄では不確かな証拠、雌ではある程度の証拠が得られたとの報告がある(NTP TR498 (2002))。 (4)4-ニトロトルエンを被験物質としたB6C3F1マウスを用いた105~106週間混餌投與による試験において、5,000 ppmで雄に細気管支-肺胞の腺腫とがんの合計頻度の増加がみられ、本物質の発がん性について、雄で不確かな証拠が得られた。なお、雄にみられた肺腫瘍に関連した前腫瘍性病変として、肺胞の細気管支化と過形成が雌雄でみられたとの報告がある(NTP TR498 (2002))。
生殖毒性
ACGIH(7th, 2001)およびIARC 65(1996)のラットおよびマウスを用いた混餌経口投與試験において、體重の低値などの一般毒性が認められる用量で精子數減少などの精巣機能障害および雌の性周期異常が認められたとの記述から、區(qū)分2とした。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
ICSC(J)(2000)の血液に影響を與え、メトヘモグロビンを生成することがあるとの記述から、區(qū)分2(血液)とした。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
NTP DB(2005)およびPATTY(4th, 1994)のマウスを用いた経口投與試験において免疫機能への影響が區(qū)分2のガイダンス値範囲の投與量で認められたとの記述から、區(qū)分2(免疫系)とした。
誤えん有害性*
データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。