急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分に該當(dāng)しない(國連分類基準の區(qū)分5)。なお、新たな評価に基づき分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:2,140 mg/kg(AICIS IMAP (2015)、SIAR (2001)、HSDB in PubChem (Accessed Sep. 2022))
経皮
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體であり、區(qū)分に該當(dāng)しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分2とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度(0.000314 mg/L)より高いため、ミストと判斷した。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間):0.375 mg/L(OECD TG 403)(AICIS IMAP (2015)、SIAR (2001)、US AEGL (2009)、HSDB in PubChem (Accessed Sep. 2022))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1)濃硫酸による皮膚火傷が多數(shù)報告されている(SIAR (2001))。 (2)硫酸は皮膚、粘膜及び角膜の腐食性又は壊死までも生じる高度の刺激性を有する(DFG MAK (2001))。 (3)硫酸は腐食性及び刺激性を有し、十分な濃度でばく露した後には皮膚、眼及び消化管に直接的な局所影響を生じる。高濃度でのばく露は組織を急速に破壊し、重度の火傷を生じる(AICIS IMAP (2015))。
【參考データ等】 (4)EUではSkin Corr. 1Aに分類されている(CLP分類結(jié)果 (Accessed Sep. 2022)。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1)皮膚腐食性/刺激性で區(qū)分1である。 (2)硫酸は腐食性及び刺激性を有し、十分な濃度でばく露した後には皮膚、眼及び消化管に直接的な局所影響を生じる。高濃度でのばく露は組織を急速に破壊し、重度の火傷を生じる(AICIS IMAP (2015))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當(dāng)しない。
【根拠データ】 (1)一般に皮膚の重度の刺激や火傷は接觸アレルギーが起こりやすい狀況をつくることが知られているが、硫酸ばく露後の皮膚刺激や火傷による二次的な皮膚感作性の報告はない(SIAR (2001)、AICIS IMAP (2015))。 (2)様々な金屬の硫酸塩(硫酸ニッケル、硫酸コバルト等)が日常のアレルギー検査に使用されるが、陽性反応は金屬の陽イオンに関連して生じ、硫酸塩による反応ではないことから、非アレルギー性であると推定される(SIAR (2001))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
【參考データ等】 (1)In vitroでは、ネズミチフス菌と大腸菌を用いた復(fù)帰突然変異試験で陰性、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞を用いた染色體異常試験で陽性の結(jié)果が得られているが、培養(yǎng)液の低pHに起因することが明らかにされている(SIAR (2001)、IARC 100F (2012))。
発がん性
【分類根拠】 (1)の既存分類結(jié)果からは本物質(zhì)を含む強無機酸ミストは區(qū)分1Aとなるが(2)~(4)より、ミスト(エアロゾル)の吸入曝露による気道の障害が認められる場合に限られることから、分類できないとした。
【根拠データ】 (1)國內(nèi)外の評価機関による既存分類として、硫酸を含む強無機酸のミストに対して、IARCでグループ1に(IARC 100F (2012))、NTPでKに(NTP RoC 15th. (2021))、ACGIHでA2に(ACGIH (2004))、それぞれ分類されている。 (2)IARCは硫酸を含む強無機酸のミストへの職業(yè)ばく露はヒトに発がん性を有する(グループ1)と結(jié)論した。この分類はミスト(ないしエアロゾル)に対し適用されるもので、硫酸それ自體に対するものではない。十分に高濃度の硫酸エアロゾルは鼻咽頭領(lǐng)域及び/又は喉頭領(lǐng)域に好発的に沈著し、そこで傷害、炎癥及び修復(fù)を繰り返し生じる。その結(jié)果、細胞増殖が生じ、他の発がん物質(zhì)と連動して影響(硫酸ばく露との関連性の弱い影響:反復(fù)的な刺激性影響)を生じると推測される。このような好発部位への沈著と極度の局所誘発性影響の推測を可能にする例として、ラットの28日間反復(fù)吸入ばく露試験(4)において、喉頭の扁平上皮化生と持続的増殖としてみられている(AICIS IMAP (2015))。 (3)ラット、マウス及びモルモットの異なる3動物種を用いた硫酸エアロゾル吸入による発がん性試験では発がん影響は検出されなかった。硫酸溶液のラット及びマウスへの慢性的な強制経口投與又は気管內(nèi)投與後に腫瘍発生のわずかな増加がみられたとの報告があるが、これらの結(jié)果からは本物質(zhì)の発がん性について明確な結(jié)論を?qū)Г长趣扦胜?。いくつかの疫學(xué)研究では硫酸を含む無機酸ミストへのばく露と喉頭がんの発生頻度増加との間に相関があると示唆されている(AICIS IMAP (2015)、SIAR (2001))。 (4)雌ラットを用いた硫酸ミストの28日間吸入ばく露試験(6時間/日、5日/週)では、0.3 mg/m3(ガイダンス値換算:0.000067 mg/L/6 hr)で喉頭の扁平上皮化生、1.38 mg/m3(同0.0003 mg/L/6 hr)以上では喉頭上皮の細胞増殖が認められた(AICIS IMAP (2015)、US AEGL (2009)、SIAR (2001))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)、(2)より、明らかな発生毒性は生じないと考えられる。一方、分類に利用可能な生殖毒性試験報告はないが、(3)より、區(qū)分に該當(dāng)しないとした。
【根拠データ】 (1)マウスを用いた吸入ばく露による発生毒性試験(妊娠6~15日)において、母動物に摂餌量減少(第1日のみ)及び肝臓重量減少がみられる高用量(19.3 mg/m3)まで、胎児に発生影響はみられなかったとの報告がある(US AEGL (2009)、SIAR (2001)、ATSDR (1998))。 (2)ウサギを用いた吸入ばく露による発生毒性試験(妊娠6~18日)において、母動物に亜急性鼻炎/気管支炎の発生頻度の増加が低用量(5.7 mg/m3)から用量に相関してみられ、高用量群では初日のみ體重増加抑制もみられた。胎児には軽微な変化として骨格変異(頭蓋骨の非骨化領(lǐng)域のサイズが小さい)がみられたのみであったとの報告がある(US AEGL (2009)、SIAR (2001)、ATSDR (1998))。 (3)実験動物を用いた硫酸の経口、経皮又は吸入ばく露による生殖毒性に関する報告は入手できなかった。しかし、硫酸は刺激性/腐食性影響を有するため、経口及び経皮経路で生殖影響を試験することは適切ではない。硫酸は接觸部位で直接作用する毒物である。酸そのものが吸収されて全身に分布するわけではないと考えられる。したがって、いずれの経路によってもばく露後に硫酸が雌雄の生殖器官に硫酸として到達するとは考えにくい。イオン化した硫酸イオンは含硫アミノ酸の正常な代謝産物として尿中に過剰排泄されることもあり、毒性學(xué)的に特別な役割を果たすことはないと考えられるとの報告がある(SIAR (2001))。
特定標(biāo)的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分1(呼吸器)とした。
【根拠データ】 (1)硫酸を吸入したヒトでは鼻汁分泌、くしゃみ、喉と胸骨の後ろの灼熱感に続き、咳、呼吸困難(時に聲帯の攣縮を伴う)、気管支炎の癥例報告がある。高濃度ばく露では血液の混じった鼻汁及び喀痰、喀血及び胃炎がみられた。これらの他、硫酸に吸入ばく露した結(jié)果、呼吸器癥狀を発癥した癥例報告は多數(shù)ある(DFG MAK (2001))。 (2)ボランティアを用いた単回吸入ばく露試験において、0.38 mg/m3以上の硫酸にばく露中に深く吸入しながら運動したヒトで咳が出たとの報告、0.45 mg/m3の硫酸にばく露24時間後のボランティアで気道反応の亢進がみられたとの報告、0.45 mg/m3ばく露と1.0 mg/m3ばく露で喉の刺激を生じたとの報告等がある。硫酸濃度が3 mg/m3以上のばく露ではラ音と気管支収縮を生じたとの報告がある(DFG MAK (2001))。 (3)多數(shù)の急性吸入毒性試験がラット、マウス、ウサギ及びモルモットで実施され、気道の局所刺激性がみられた。影響は接觸部位に限られるため、いずれの試験においても全身毒性の証拠は得られない。硫酸エアロゾル吸入ばく露後に気道でみられた主な所見は、モルモットでは肺の出血、浮腫、無気肺(肺の部分崩壊又は不完全拡張)、肺胞壁の肥厚、ラット及びマウスでは肺の出血及び浮腫、鼻甲介、気管及び喉頭の潰瘍である。これらの病変は硫酸の腐食性/刺激性に関連した影響である(AICIS IMAP (2015))。
特定標(biāo)的臓器毒性 (反復(fù)ばく露)
【分類根拠】 (1)~(4)より、區(qū)分1(呼吸器)とした。
【根拠データ】 (1)硫酸のミストの反復(fù)又は長時間吸入により気道の炎癥を生じ、慢性気管支炎をきたすおそれがある。熱酸や発煙硫酸の濃縮蒸気又はミストの吸入は肺組織への重度の傷害を伴い急速な意識喪失を生じる可能性がある(AICIS IMAP (2015))。 (2)ラット(雌)を用いた28日間反復(fù)吸入(ミスト)ばく露試験(6時間/日、5日/週)において、0.3 mg/m3(ガイダンス換算値:0.000067 mg/L/6h、區(qū)分1の範(fàn)囲)以上で喉頭の扁平上皮化生がみられ、1.38 mg/m3(ガイダンス換算値:0.0003 mg/L/6h、區(qū)分1の範(fàn)囲)以上で喉頭上皮の細胞増殖がみられたとの報告がある(AICIS IMAP (2015)、US AEGL (2009)、SIAR (2001))。 (3)ラット(雄)を用いた82日間反復(fù)吸入ばく露試験(8時間/日)において、2 mg/m3(ガイダンス換算値:0.0018 mg/L/6h、區(qū)分1の範(fàn)囲)以上で肺胞上皮細胞(主に肺胞管)の肥大がみられたとの報告がある(US AEGL (2009))。 (4)サルを用いた78週間反復(fù)吸入(ミスト)ばく露試験において、約0.4 mg/m3(0.0004 mg/L/6h、區(qū)分1の範(fàn)囲)以上で肺の構(gòu)造(細気管支上皮の過形成?肥厚)と機能(換気能の低下)への有害影響が軽度にみられ、2.43 mg/m3(0.00243 mg/L/6h、區(qū)分1の範(fàn)囲)以上で明瞭にみられたとの報告がある(ACGIH (2003))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。