急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分4とした。
【根拠データ】 (1)ラットのLD50:1,200 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2008)、FAO (2012)、EPA Pesticides RED (1994)) (2)ラット(雄)のLD50:1,680 mg/kg(ACGIH (2020))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:> 5,000 mg/kg(OECD TG 402)(FAO (2012)) (2)ウサギのLD50:> 5,280 mg/kg(食安委 農薬評価書 (2008)、EPA Pesticides RED (1994))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固體であり、區(qū)分に該當しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50(4時間、粉塵):> 7.48 mg/L(ACGIH (2020)、Patty (2012))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、ガイダンスに従い、區(qū)分に該當しない(國連分類基準の區(qū)分3)。
【根拠データ】 (1)本物質はウサギの皮膚に対して軽度の刺激性が認められた(食安委 農薬評価書 (2008))。 (2)本物質は軽度(mild)の皮膚刺激性物質である(EPA Pesticides RED (1994))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分1とした。
【根拠データ】 (1)本物質はウサギの眼に対して非可逆性の角膜混濁を誘発した(食安委 農薬評価書 (2008))。 (2)本物質は重度の眼刺激性物質である(EPA Pesticides RED (1994))。 (3)ウサギ(n = 3)を用いた眼刺激性試験において、角膜混濁、虹彩炎、結膜発赤及び結膜浮腫がみられ、2例は21日以內に影響が回復した(Patty (2012))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 (1)、(2)より、ガイダンスに従い、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)モルモットを用いたBuehler試験の結果、陰性であった(食安委 農薬評価書 (2008))。 (2)本物質は皮膚感作性物質ではない(EPA Pesticides RED (1994))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験(単回経口投與、最大3,000 mg/kg)、及びラットの骨髄細胞を用いた染色體異常試験(単回経口投與、最大1,000 mg/kg)で、いずれも陰性であった(食安委 農薬評価書 (2008)、FAO (2012)、ACGIH (8th, 2020)、EPA Pesticides (1994)、Patty (6th, 2012))。 (2)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験で陰性、ほ乳類培養(yǎng)細胞(チャイニーズハムスター卵巣由來細胞(CHO))を用いた遺伝子突然変異試験で陰性、CHOを用いた染色體異常試験で陽性の報告がある(食安委 農薬評価書 (2008)、FAO (2012)、ACGIH (2020)、EPA Pesticides (1994))。
発がん性
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)國內外の評価機関による既存分類結果として、EPAでグループD(Not Classifiable As To Human Carcinogenicity)に(EPA OPP Annual Cancer Report 2020 (Accessed Sep. 2021))、ACGIHでA4に(ACGIH (8th, 2020))分類されている。 (2)ラットを用いた2年間混餌投與による発がん性試験において、発がん性の証拠は認められなかった(食安委 農薬評価書 (2008)、EPA Pesticides (1994)、ACGIH (8th, 2020))。 (3)マウスを用いた2年間混餌投與による発がん性試験において、最高用量の10,000 ppm投與群の雌で肝細胞腺腫の増加が認められた。前腫瘍性病変として肝変異細胞巣の増加が雄の2,500 ppm以上及び雌の10,000 ppm投與群でみられた(食安委 農薬評価書 (2008))。EPAの評価では雌の細胞腺腫は傾向検定で有意な増加を示すが、対照群とのpairwise比較検定では有意差がなく、マウスの肝臓腫瘍はequivocal(陰性/陽性を結論づけられない)と最終判斷された(EPA Pesticides (1994))。ACGIHの評価でも、肝細胞腫瘍性結節(jié)の増加(雄)と肝細胞腺腫(雌雄)、肝細胞の腺腫とがんの合計(雌雄)の各発生頻度の増加がみられるものの、発がん性の証拠としてはequivocal evidence(不確かな証拠)と結論された(ACGIH (2020))。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた混餌投與による二世代生殖毒性試験において、親動物に一般毒性(P雌:體重増加抑制、F1雌:摂餌量減少)が発現(xiàn)する中用量(2,000 ppm)で、F1?F2児動物には低體重のみがみられ、F1雌雄親動物に體重低下が加わった高用量(5,000 ppm)では、哺育率の低下がF(xiàn)2第2産児でみられた。親動物の生殖能に影響はなく、児動物にも分類根拠となるような重大な所見はみられなかったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2008)、ACGIH (8th, 2020)、EPA Pesticides (1994)、Patty (6th, 2012))。 (2)雌ラットを用いた強制経口投與による発生毒性試験(妊娠7~16日)において、母動物に死亡(1/25例)、最終體重の低下が認められる最高用量(900 mg/kg/day)においても、胎児には低體重がみられただけであったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2008)、ACGIH (8th, 2020)、EPA Pesticides (1994)、Patty (6th, 2012))。 (3)雌ウサギを用いた強制経口投與による発生毒性試験(妊娠7~28日)において、最高用量(175 mg/kg/day)では母動物の21/22例が死亡し、発生影響は評価できなかった。1つ下の用量(125 mg/kg/day)では、母動物に體重増加抑制、摂餌量減少、流産、死亡、癥狀(下痢など)等、著しい毒性が認められたのに対し、胎児には低體重がみられたのみであったとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2008)、ACGIH (2020)、EPA Pesticides (1994)、Patty (2012))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分3(麻酔作用)とした。
【根拠データ】 (1)ラット及びモルモットを用いた単回経口投與試験において、ラットでは1,200 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で、モルモットでは860 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で、嗜眠、運動失調、流涎、衰弱、口のもぐもぐ動作、被毛粗剛がみられたとの報告がある(ACGIH (2020))。
【參考データ等】 (2)イヌを用いた単回経口投與試験において、1,000 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で嘔吐、振戦、流涎、促拍呼吸がみられたが、翌日には回復したとの報告がある(ACGIH (2020))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分2(肝臓)とした。
【根拠データ】 (1)イヌを用いた混餌投與による1年間慢性毒性試験において、1,500 ppm(37.5 mg/kg/day、區(qū)分2の範囲)でALPの増加、削痩(雄)、Albの低下(雄)、肝細胞空胞化(雄)、肝の同心円狀の模様小體(雌)、肝細胞色素沈著(雌)が、6,000 ppm(150 mg/kg/day、區(qū)分に該當しない範囲)で大球性貧血(中程度)、T.Cholの低下、AST及びALTの増加、肝比重量の増加、小葉中心性単細胞壊死、肝の同心円狀の模様小體、精巣絶対重量の低下(雄)、肝の同心円狀の模様小體(雄)、肝細胞色素沈著(雄)、削痩(雌)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2008)、ACGIH (2020)、EPA Pesticides RED (1994))。
【參考データ等】 (2)ラットを用いた混餌投與による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、1,000 ppm(50 mg/kg/day、區(qū)分2の範囲)で體重増加抑制、食餌効率低下、體重低下(雄)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2008)、ACGIH (2020)、FAO (2012)、EPA Pesticides RED (1994))。 (3)マウスを用いた混餌投與による2年間慢性毒性/がん原性併合試験において、2,500 ppm(366 mg/kg/day(雄)、450 mg/kg/day(雌)、區(qū)分に該當しない範囲)で肝変異細胞巣(雄)、小葉中心性肝細胞肥大(雄)がみられたとの報告がある(食安委 農薬評価書 (2008)、ACGIH (2020)、FAO (2012)、EPA Pesticides RED (1994))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。