急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分3とした。なお、有害性の高い區(qū)分を採用し、分類結果を変更した。舊分類からEUで急性毒性(経口)のGHS區(qū)分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLD50: 343 mg/kg(OECD TG401)(DFG MAK (2013)、EU FESA (2007)、CLH Report (2012)、JMPR (2018)) (2)ラット(雌)のLD50: 227 mg/kg(OECD TG401)(DFG MAK (2013)、EU FESA (2007)、CLH Report (2012)、JMPR (2018)) (3)ラットのLD50: 664 mg/kg (DFG MAK (2013)、EU FESA (2007)、JMPR (2018))
【參考データ等】 (4)本物質はEU CLHにおいて、區(qū)分3に分類されている。
経皮
【分類根拠】 (1)~(4)より、區(qū)分に該當しない(國連分類基準の區(qū)分5)。舊分類からEUで急性毒性(経口)のGHS區(qū)分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50: > 2,000 mg/kg(DFG MAK (2013)、CLH Report (2012)、JMPR (2018)) (2)ラットのLD50: > 2,000 mg/kg(DFG MAK (2013)、JMPR (2018)) (3)ラットのLD50: 4,800 mg/kg(JMPR (2018)) (4)ラットのLD50: 4,200 mg/kg(JMPR (2018)、PubChem (Accessed Dec. 2021))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における固體であり、區(qū)分に該當しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。舊分類からEUで急性毒性(経口)のGHS區(qū)分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直したが、分類結果に変更はない(2021年)。
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分4とした。舊分類からEUで急性毒性(経口)のGHS區(qū)分が変更されたことに伴い、急性毒性項目のみ見直したが、分類結果に変更はない(2021年)。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50: 2.43 mg/L(2.88 mg/L(雄)、1.84 mg/L(雌))(CLH Report (2012)、JMPR (2018)、DFG MAK (2013))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギを用いたドレイズ試験において、軽度の皮膚刺激性が認められた(JMPR No.12, 2005)とあるが、別のウサギを用いた試験(OECD TG 404)において紅斑と浮腫は観察されず、刺激性は認められていない(JMPR No.8(2000))。また複數のボランティアらによる皮膚刺激性試験において、熱傷、そう癢、痛み等の癥狀は認められなかったとの記述(JMPR No.8(2000))から、區(qū)分に該當しないとした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いたドレイズ試験(OECD 405)において中程度の刺激性(moderately irritating: 平均スコア29)(JMPR No.8(2000))、また別のウサギを用いたドレイズ試験において中程度の刺激性(moderately irritating: 平均スコア33.7)を示した(JMPR No.12(2005))ことから區(qū)分2Aとした。なお、EUリスク警句はR41(EU-Annex, access on 2, 2009)である。
呼吸器感作性
データなし。
皮膚感作性
モルモットを用いた皮膚感作性試験(OECD 406)において陽性率5%の結果が得られ(JMPR No.8(2000))、また別のモルモットを用いた皮膚感作性試験では、感作率は 0% で感作性を示さない結果が得られている(JMPR No. 12(2005))しかしながら、いずれも結果は明確でないため、分類できないとした。
生殖細胞変異原性
マウスの優(yōu)性致死突然変異試験(生殖細胞in vivo経世代変異原性試験)(HSDB(2006))、マウスの骨髄細胞小核試験(體細胞in vivo変異原性試験)(JMPR No.8(2000))、およびラット、マウスを用いた複數の小核試験(體細胞in vivo変異原性試験)(HSDB(2006))の陰性の結果に基づき區(qū)分に該當しないとした。なお、マウスの肝細胞を用いた不定期DNA合成試験(體細胞in vivo遺伝毒性試験)で陰性(JMPR No.8(2000):(JMPR No.31(1977))である。また、in vitro 変異原性試験:エームス試験、染色體異常試験、チャイネーズハムスター培養(yǎng)細胞V79を用いた突然変異試験で陰性の結果が得られている(JMPR No.8(2000)、(HSDB(2006))。
発がん性
ラット2年間の経口投與試験(JMPR No.6(2001))において最高濃度區(qū)において肝臓腺腫、及び甲狀腺の濾胞細胞腫瘍が観察されているが、試験に用いられた物質の純度は50%であった。一方、別のラット30ヶ月の経口投與試験(JMPR No.8(2000))においては投與に関連した組織病理影響は肝臓において観察されておらず、本物質が発がん性である証拠を持たないとの情報を提供している。また、別のラット2年間の経口投與試験(JMPR No.21(1980))では臓器に対して本物質が腫瘍形成に関與していないとのデータを提供している。さらに、マウスを用いた23ヶ月間の経口投與試験(JMPR No.8(2000))において腺腫の発生率の増加が認められているが、「発がん性に対して統(tǒng)計的に重要な傾向がない」、と結論付けられている。その他マウスの18ヶ月間の経口投與試験(飲水)(JMPR No.21(1980))、マウスの2年間経口投與試験HSDB(2006)においても発がん性は認められていないことから區(qū)分に該當しないとした。
生殖毒性
ラットを用いた複數の3世代?2世代試験において催奇形性は認められなかったが、生存仔の減少、死産率の増加が見られている(JMPR No.31(1977))(IRIS(1990))(JMPR No.8(2000))。また、OECDガイドラインに基づくラットの生殖毒性試験において、母體重量の減少は見られているが、妊娠率、黃體數、著床率に関しては対照群と比較して有意な差は認められていない。また上述と同じ試験の中での発生毒性試験において、仔の催奇形性は認められなかったが、胎仔數の減少、仔の重量の低下が見られている(JMPR No.12(2005))。以上の動物実験で親動物での一般毒性に関する記述が無いが、生存仔の減少、死産率の増加が見られることから、區(qū)分2とした。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
ラット4時間の吸入曝露試験(粉塵)(JMPR,No.12(2005))でガイダンスの區(qū)分2を超える>20.67 mg/Lの用量で顕著な影響は観察されていない。さらにラットとウサギで経皮試験(JMPR,No.12(2005))が行われているが、ガイダンスの區(qū)分內で毒性影響は認められていない。以上のことから、區(qū)分に該當しない(吸入、経皮)に該當するが、経口投與での毒性影響が不明であることから分類できないとした。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)
ラット3ヶ月間経口試験において、肝細胞中に小さい空胞が2400, 3200 ppm(換算値:180、250 mg/kg(雄); 240, 330 mg/kg(雌))の用量で観察されている(JMPR No.6(2001))。またラット14週間(3ヶ月間)経口投與試験では肝細胞の壊死が, 800 ppm の濃度(90日換算値:40 mg/kg)で生じたとの報告がある(HSDB(2006))。マウス3ヶ月間経口投與試験では、最高濃度(オス:140mg/kg/day, メス:170mg/kg)と、オスの中間濃度(53mg/kg/day)で肝臓の黒化が見られ、組織病理學的解析の結果、門脈周辺部域で雌雄において大小の空包數の増加が見られたている(JMPR No.8(2000))。以上より、ラットおよびマウスの経口曝露試験における肝臓への影響は、ガイダンス値の區(qū)分2に相當する用量範囲で発生し、肝細胞壊死が認められることより區(qū)分2(肝臓)と判斷した。
誤えん有害性*
データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。