急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(5)より、1件が區(qū)分4、4件が區(qū)分外(國連分類基準區(qū)分5)、1件が區(qū)分外に該當する。よって件數(shù)の多い區(qū)分外(國連分類基準區(qū)分5)とした。ガイダンスの改定により分類結果の記載を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50値:2,000 mg/kg(雄)(MAK/BAT(2017)) (2)ラットのLC50値:約4,000 mg/kg(雄)(m-, p-混合物)(MAK/BAT(2017)) (3)ラットのLC50値:5,000 mg/kg(雄)(MAK/BAT(2017)) (4)ラットのLC50値:4,000 mg/kg(m-, p-混合物)(ACGIH(1992)、Patty(2012)) (5)ラットのLC50値:4,900 mg/kg、5700 mg/kg(m-, p-混合物)(Patty(2012))
経皮
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分外とした。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50値:>4,500 mg/kg(雄、雌)(MAK/BAT(2017))
吸入:ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體である。
吸入:蒸気
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
吸入:粉じん及びミスト
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分外とした。なお、飽和蒸気濃度1,480ppmであり、飽和蒸気濃度を超えた範囲で試験が行われていることから、ミストの吸入試験として取り扱った。
【根拠データ】 (1)ラットのLC50値(4時間):>3,500 ppm(16.90 mg/L)(雄、雌)(MAK/BAT(2017)) (2)ラットのLD50値(6時間):1,510 ppm(7.293 mg/L、4時間換算値:8.932 mg/L)(雄、雌)(MAK/BAT(2017)) (3)ラットのLD50値(6時間):1,960 ppm(9.467 mg/L、4時間換算値:11.59 mg/L)(雄、雌)(MAK/BAT(2017))
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 反復適用のデータ(2)からは回復性を伴う刺激性が示されており、(1)を支持している。24時間適用のデータ(3)は區(qū)分外を示しているが、証拠の重みづけを踏まえて區(qū)分2とした。
【根拠データ】 (1)本物質はヒトの皮膚を刺激し、刺激性を有することが一般的に知られている物質との記述がある(NTP TR375(1990)、HSDB(Accessed Aug. 2018))。
【參考データ等】 (2)ウサギを用いた試験において、本物質を13日間にわたり10回適用したところ、わずかから中等度の刺激性を示したが回復も早かったとの報告がある(DFG(2017))。 (3)ウサギを用いた皮膚刺激性試験で本物質を24時間適用したところ、PII(皮膚一次刺激指數(shù))が1.5だったとの報告がある(ECHA登録情報(Accessed Jul. 2018))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 重度の刺激性を示すとの情報(1)と軽度の刺激性を示すとの情報(2)、(3)があるが、(1)はばく露の詳細が不明であり、証拠の重みづけにより區(qū)分2とした。なお、新たに得られた情報を用いて舊區(qū)分から區(qū)分を変更した。
【根拠データ】 (1)400 ppm以上の濃度でヒトの眼や鼻に対して重度の刺激性が見られたとの報告がある(MAK/BAT(2017)、IARC 60(1994)、NTP TR375(1990))。 (2)ウサギを用いた眼刺激性試験(m-體:約55~70%、p-體30~45%の異性體混合物)で本物質を適用後7日間観察した結果軽度の結膜刺激が見られたとの報告がある(MAK/BAT(2017))。 (3)ウサギを用いた眼刺激性試験で本物質を適用後7日間観察した結果、最大スコアは1であり紅斑、膿の分泌が見られたが、最終的には回復したとの報告がある(REACH登録情報(Accessed Jul. 2018))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 本物質は皮膚感作性を示さないという情報(1)もあるが、試験の詳細が不明であり、データ不足のため分類できないとした。
【參考データ等】 (1)モルモットを用いたMaximization試験(n=15(雄))で本物質(m-體、p-體混合體)を適用したところ、皮膚感作性を示さなかったとの報告がある(MAK/BAT(2017)、REACH登録情報(Accessed Jul. 2018))。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)~(3)より、マウス赤血球を用いた小核試験で陽性知見に基づき、區(qū)分2とした。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、ラットの優(yōu)性致死試験で陰性であった(MAK/BAT(2017))。 (2)In vivoでは、ラット骨髄を用いた染色體異常試験で陰性(MAK/BAT(2017))、マウス赤血球を用いた小核試験で陽性(MAK/BAT(2017)、IARC 60(1994))であった。 (3)In vitroでは、細菌を用いた復帰突然変異試験では陰性(MAK/BAT(2017)、IARC 60(1994))、ヒトリンパ球による染色體異常試験、姉妹染色分體交換試験で陽性、哺乳類培養(yǎng)細胞を用いた遺伝子突然変異試験で弱い陽性(MAK/BAT(2017)、IARC 60(1994))、哺乳類培養(yǎng)細胞を用いた染色體異常試験、姉妹染色分體交換試験で陰性(MAK/BAT(2017))の報告がある。
発がん性
【分類根拠】 発がん性に関して、利用可能なヒトを対象とした報告はない。 (1)~(3)より、分類できないとした。
【根拠データ】 (1)雌雄ラット及びマウスに本物質(p-異性體:96.8%、m-異性體:3%)それぞれ10, 50, 250, 500 mg/kg bwで108週、10, 50, 250 mg/kg bwで78週経口投與した結果、悪性腫瘍、良性腫瘍が発生した割合?數(shù)に有意な増加は認められなかった(IARC 60(1994))。 (2)雌雄ラット及びマウスに本物質(p-異性體:32-35%、m-異性體:65-71%)それぞれ100, 300 ppmで103週、10, 25 ppmで103週吸入ばく露した結果、いずれの性でも投與に関連した腫瘍発生の増加は認められなかった(IARC 60(1994)、NTP TR375(1990))。 (3)國內(nèi)外の分類機関による既存分類では、IARC 60(1994)がグループ3、ACGIH がA4(7th, 2001)に分類している。
生殖毒性
【分類根拠】 (1)より、ラットの2世代繁殖毒性試験における児動物の死亡率増加の報告があるが、統(tǒng)計的な有意性や親動物の全身狀態(tài)などの詳細が不明であるため、データ不足のため分類できない。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた経口経路(混餌)による2世代繁殖毒性試験では、500mg/kg/dayの投與により、親動物は體重増加抑制が見られ、F1児動物は死亡率の僅かな増加がみられた(MAK/BAT(2017))。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分2(神経系)、區(qū)分3(麻酔作用、気道刺激性)とした。なお、舊分類から標的臓器及び區(qū)分を変更した。
【根拠データ】 (1)ヒトにおいて高濃度に持続吸入ばく露された場合、中樞神経抑制がみられるとの報告がある(NTP TR 375(1990))。 (2)400 ppmにばく露した被験者に気道刺激を生じたとの報告がある(ACGIH(7th, 2001)、PATTY(6th, 2012))。 (3)ラットに3,500 mL/m3(値換算:16.9 mg/L、區(qū)分2超)で4時間吸入ばく露させた試験において、ばく露中に呼吸異常、眼?鼻?耳からの分泌物が、ばく露後に筋力の低下、反射の喪失、非協(xié)調(diào)運動、振戦がみられたとの報告がある(MAK/BAT(2017))。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
【分類根拠】 (1)および(2)のデータから區(qū)分1(呼吸器)とした。 ヒトの中樞神経系影響は本物質の影響かどうか不明のため、標的臓器としない。また、(6)で雄ラットに腎癥の程度の増強がみられたが、雌ラット、雌雄マウスには腎臓への影響がみられておらず、雄ラット特異的な腎障害と判斷した。(3)、(4)で認められた肝臓への影響は長期のばく露試験では認められなかったため、短期的な一過性影響と判斷し、標的臓器としない。 舊分類から標的臓器を見直したため、區(qū)分を変更した。
【根拠データ】 (1)マウスに10~200 ppmを13週間吸入ばく露した試験において、10 ppm(換算値:0.0343 mg/L、區(qū)分1の範囲)以上で鼻甲介の化生(雌雄)が、160 ppm(換算値:0.549 mg/L、區(qū)分2の範囲)で肺炎(雌雄)がみられたとの報告がある(NTP TR375(1990)、ACGIH(7th, 2001))。 (2)マウスに10~25 mg/Lを2年間吸入ばく露した試験において、10 ppm(換算値:0.0343 mg/L、區(qū)分1の範囲)以上で鼻粘膜に変性及び非腫瘍性増殖性病変(限局性慢性活動性炎癥、呼吸上皮のび漫性過形成)が、25 ppm(換算値:0.0857 mg/L、區(qū)分1の範囲)で鼻粘膜に変性及び非腫瘍性増殖性病変(限局性慢性活動性炎癥、呼吸上皮のび漫性過形成)がみられたとの報告がある(NTP TR375(1990)、ACGIH(7th, 2001))。
【參考データ】 (3)ヒトでは職業(yè)ばく露により、抑うつ、記憶力低下、電気生理學的変化など中樞神経系への影響があるとの報告があるが、他の神経毒性を有する物質との複合ばく露の情報である(IARC 60(1994))。 (4)ラットに200~1,300 ppmを2週間吸入ばく露した試験において、1,300 ppm(換算値:4.46 mg/L、區(qū)分外相當)で肝臓に小葉中心性肝細胞壊死及び限局性炎癥性細胞浸潤(雄)、軽微な小葉中心性空胞化(雌)、気管支上皮の異形成、慢性気管支炎及び肺のリンパ組織過形成(雌雄)がみられたとの報告がある(NTP TR375(1990))。 (5)マウスに10~200 ppmを2週間吸入ばく露した試験において、200 ppm(換算値:0.686 mg/L、區(qū)分2の範囲)で肝細胞壊死(雄)、小葉中心性肝細胞壊死、空胞化及び炎癥性細胞浸潤(雌)、肺內(nèi)気管支上皮の過形成(雌)がみられたとの報告がある(NTP TR375(1990))。 (6)ラットに25~1,000 ppmを13週間吸入ばく露した試験において、160 ppm(換算値:0.549 mg/L、區(qū)分2の範囲)以上で用量相関的な腎癥の程度の増強(雄)がみられたとの報告がある(NTP TR375(1990)、ACGIH(7th, 2001))。 (7)ラットに100~300 ppmを2年間吸入ばく露した試験において、100 ppm(換算値:0.343 mg/L、區(qū)分2の範囲)以上で雌雄に鼻粘膜に変性及び非腫瘍性増殖性病変(嗅上皮の呼吸上皮化生、上皮內(nèi)に粘液性嚢胞を有する呼吸上皮のび漫性過形成、嗅上皮の限局性糜爛など)が、300 ppm(換算値:1.03 mg/L、區(qū)分外相當)で雌雄に鼻粘膜に変性及び非腫瘍性増殖性病変 (嗅上皮の呼吸上皮化生、上皮內(nèi)に粘液性嚢胞を有する呼吸上皮のび漫性過形成、嗅上皮の限局性糜爛など)がみられたとの報告がある(NTP TR375(1990)、ACGIH(7th, 2001))。
吸引性呼吸器有害性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。