急性毒性
経口
【分類根拠】 (1)~(6)より、區(qū)分4とした。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLD50:1,300~2,000 mg/kgの間(OECD TG 401、GLP)(厚労省 既存點検結(jié)果 (2000)) (2)ラット(雌)のLD50:800~1,300 mg/kgの間(OECD TG 401、GLP)(厚労省 既存點検結(jié)果 (2000)) (3)ラットのLD50:1,100 mg/kg(GLP)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (4)ラットのLD50:680 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (5)ラット(雄)のLD50:930 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (6)ラット(雌)のLD50:1,100 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))
経皮
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ウサギのLD50:3,000 mg/kg(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (2)ラットのLD50:> 2,000 mg/kg(GLP)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))
吸入: ガス
【分類根拠】 GHSの定義における液體であり、區(qū)分に該當しない。
吸入: 蒸気
【分類根拠】 (1)~(3)より、區(qū)分3とした。なお、ばく露濃度は飽和蒸気圧濃度の90%(7,580 ppm)より低いため、蒸気と判斷し、ppmVを単位とする基準値より判斷した。
【根拠データ】 (1)ラット(雄)のLC50(4時間):1,009 ppm(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (2)ラット(雌)のLC50(4時間):1,129 ppm(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022)) (3)ラットのLC50(1時間):> 2,162 ppm (4時間換算:>1,081 ppm)(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))
吸入: 粉じん及びミスト
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
【分類根拠】 (1)より、區(qū)分に該當しない(國連分類基準の區(qū)分3)。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた皮膚刺激性試験(GLP、半閉塞、4時間適用、5日観察)において、1、2及び3日後の全例の紅斑スコアの平均は0.67、2、1であり、浮腫スコアの平均は0.33、1、1であった。みられた影響は5日以內(nèi)に完全回復(fù)したとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。
【參考データ等】 (2)ウサギ(n=6)を用いた皮膚刺激性試験(半閉塞、24時間適用、3日観察)において、皮膚一次刺激指數(shù)(PDII)は2.63であったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分に該當しない。
【根拠データ】 (1)ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(GLP、7日観察)において、1例で虹彩炎を伴う角膜混濁、全例で結(jié)膜発赤と結(jié)膜浮腫がみられたが、全ての影響は7日以內(nèi)に回復(fù)した(角膜混濁スコア:0/0/2、虹彩炎スコア:0/0/0.3、結(jié)膜発赤スコア:0.7/1/1.7、結(jié)膜浮腫スコア:0.3/0.7/1)との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。 (2)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(8日観察)において、6例中5例で明瞭な結(jié)膜刺激がみられ、このうち3例では角膜混濁も認められたが、すべての影響は8日以內(nèi)に回復(fù)した(1~4日後及び8日後のDraizeスコア:17(フルスコア:110))との報告がある(REACH登録情報 (Accessed Jan. 2022))。
呼吸器感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
皮膚感作性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性
【分類根拠】 (1)、(2)より、區(qū)分2とした。新たなデータに基づき分類した。
【根拠データ】 (1)In vivoでは、トランスジェニックマウスを用いた肝臓、骨髄、腺胃及び精巣を標的とした遺伝子突然変異試験(28日間連続強制経口投與、30~300 mg/kg/day)、マウスの網(wǎng)狀赤血球を用いた小核試験(単回経口投與、645 mg/kg)、ラットの腎臓を標的とした遺伝子損傷試験(アルカリ溶出法:単回腹腔內(nèi)投與、472 mg/kg)ではいずれも陰性であったが、ラットの骨髄細胞を用いた染色體異常試験(慢性吸入ばく露、45 mg/m3)で陽性の報告がある(IARC 125 (2020)、厚労省 既存點検結(jié)果 (2013、2000))。 (2)In vitroでは、細菌を用いた復(fù)帰突然変異試験、チャイニーズハムスター肺線維芽細胞(CHL)を用いた3つの染色體異常試験、マウスリンパ腫細胞L5178Y Tk+/–株を用いたマウスリンフォーマ試験で、結(jié)果はいずれも陽性であった(IARC 125 (2020)、厚労省 既存點検結(jié)果 (2010))。
発がん性
【分類根拠】 (1)より厚生労働省がん原生指針に指定されていること、(2)、(3)より動物種2種で悪性腫瘍の発生増加が認められ、動物実験において発がん性の十分な証拠があり、區(qū)分1Bとした。なお、新たな情報源に基づき分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】 (1)本物質(zhì)は労働安全衛(wèi)生法第28條第3項の規(guī)定に基づき、厚生労働大臣が定める化學(xué)物質(zhì)による労働者の健康障害を防止するための改正指針の対象物質(zhì)である(平成24年10月10日付け健康障害を防止するための指針公示第23號)。 (2)ラットを用いた2年間吸入ばく露によるがん原性試験(OECD TG451、GLP:蒸気、25~400 ppm)において、雌雄ともに肝細胞腺腫、肝細胞がん、肝臓の血管肉腫、肺の細気管支-肺胞上皮腺腫、皮膚/付屬器官の毛嚢上皮腫、加えて雄では大腸の腺腫及び腺癌、雌では大腸の腺腫の発生増加が認められた(厚労省委託がん原性試験 (2005)、IARC 125 (2020))。 (3)マウスを用いた2年間吸入ばく露によるがん原性試験(OECD TG451、GLP:蒸気、25~400 ppm)において、雄に肺の細気管支-肺胞上皮腺腫、細気管支-肺胞上皮がん、腺扁平上皮がんおよび扁平上皮がん、前胃の扁平上皮乳頭腫、ハーダー腺の腺腫、雌に細気管支-肺胞上皮腺腫、細気管支-肺胞上皮がん、前胃の扁平上皮乳頭腫と扁平上皮がん、ハーダー腺の腺腫の発生増加が認められた(厚労省委託がん原性試験 (2005)、IARC 125 (2020))。 (4)本物質(zhì)が炎癥を誘発し細胞増殖を促進することを示唆する証拠、遺伝毒性を示すことを示唆する証拠があり(參考データ參照)、本物質(zhì)が発がん物質(zhì)の鍵となる性質(zhì)を示す実験系の強力な証拠とされている(IARC 125 (2020))。
【參考データ等】 (5)國內(nèi)外の評価機関による既存分類結(jié)果として、IARCでグループ2Bに(IARC 125 (2020))、日本産業(yè)衛(wèi)生學(xué)會で第2群Bに(産衛(wèi)學(xué)會 許容濃度等の勧告 (2021))分類されている。
生殖毒性
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。なお、(1)は明確な用量相関性を欠くこと及び統(tǒng)計的有意差がないことから分類に利用しなかった。
【參考データ等】 (1)ラットを用いた強制経口投與による生殖発生毒性スクリーニング試験(OECD TG421、GLP:4~100 mg/kg/day、雄:交配14日前から交配期間を含む計42日間、雌:交配14日前から授乳3日までの40~51日間)において、雌雄親動物には高用量(100 mg/kg/day)で肝臓重量増加及び小葉中心性肝細胞肥大が認められた以外に投與による有意な影響はみられなかった。しかしながら、授乳期間中に20 mg/kg/dayで2例(2/12)、100 mg/kg/dayで1例(1/12)に十分な哺育行動を行わない母動物が出現(xiàn)し、出生児は全例死亡した。その結(jié)果、出生児の生後4日の生存率は対照群、4、20及び100 mg/kg/day投與群でそれぞれ96.8、94.8、75.5及び72.0%となり、20 mg/kg/day以上で生後4日生存率の低下傾向(有意差なし)がみられた。個體別にみた場合、中用量以上の群ではこれら3例以外にも出生児の生後4日生存率が対照群の下限値(83.3%)をかなり下回る母動物が存在し、群平均も試験施設(shè)の2005~2010年の背景データの範囲(81.8~100%)を下回った。原著者らは用量相関性を欠くが、20 mg/kg/day以上の投與群における哺育行動の低下と出生児の生後4日生存率の低下傾向は被験物質(zhì)投與による影響を否定できないとして、生殖発生毒性のNOAELは4 mg/kg/dayと報告している(厚労省 既存點検結(jié)果 (2010))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)
【分類根拠】 (1)~(4)より、區(qū)分3(麻酔作用)とした。なお、新たな知見に基づき分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた単回経口投與試験(OECD TG 401、GLP)において、500 mg/kg(雄、區(qū)分2の範囲)及び800 mg/kg(雌、區(qū)分2の範囲)で流涎が、1,300 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で半眼が、2,000 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で自発運動の減少、腹臥位、半眼、閉眼、歩行失調(diào)、流涎等がみられたとの報告がある。なお、LD50は1,300~2,000 mg/kg(雄)、800~1,300 mg/kg(雌)である(既存點検結(jié)果 (2000))。 (2)ラットを用いた単回経口投與試験(GLP)において、歩行異常、嗜眠、呼吸數(shù)減少が、800 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で姿勢異常、四肢の蒼白化、眼瞼下垂が、1,000 mg/kg(區(qū)分2の範囲)で目頭膜の膨張(4/5例(雄)、1/5例(雌))、振戦(1/5例(雌))がみられたとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。 (3)ラットを用いた単回経口投與試験において、抑うつ、活動性の低下がみられたとの報告がある。なお、LD50は930 mg/kg(雄)、1,100 mg/kg(雌)である(REACH登録情報 (Accessed November 2021))。 (4)ラットを用いた単回吸入ばく露試験(蒸気、4時間)において、気管粘膜のうっ血と刺激、脳の神経組織の浮腫と腫脹、剖検所見では內(nèi)臓のうっ血、肺の出血、病理組織所見では肝臓の脂肪変性、腎臓のアルブミン様変性がみられたとの報告がある。なお、LC50は6.5 mg/L(1,009 ppm(雄))、7.27 mg/L(1,129 ppm(雌))である(REACH登録情報 (Accessed Nov. 2021))。
特定標的臓器毒性 (反復(fù)ばく露)
【分類根拠】 (1)~(4)より、呼吸器と肝臓への影響がみられたことから、區(qū)分1(呼吸器)、區(qū)分2(肝臓)とした。また、(3)でみられた腎臓への影響は、加齢に伴う癥狀であると考えられるため、標的臓器として採用していない。ガイダンスに基づき分類結(jié)果を変更した。
【根拠データ】 (1)ラットを用いた強制経口による28日間反復(fù)経口投與試験(OECD TG407、GLP)において、100 mg/kg/day(90日換算:31.1 mg/kg/day、區(qū)分2の範囲)で流涎、肝臓の絶対?相対重量の増加、小葉中心性肝細胞肥大、Htの減少(雄)、平均赤血球血色素濃度の上昇(雄)、腎臓の絶対/相対重量増加(雄)、精細管萎縮(雄)、前胃粘膜の過形成(雄)、血清塩素濃度の上昇(雌)がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (2000))。 (2)ラットを用いた13週間反復(fù)吸入ばく露試験(OECD TG413、GLP、蒸気、6時間/日、5日/週)において、0.322 mg/L(ガイダンス換算:0.23 mg/L、區(qū)分2の範囲)で鼻咽頭の杯細胞の増生(中等度~軽度)、肝臓重量増加(雄)、鼻腔の杯細胞の増殖(軽度)(雄)が、0.644 mg/L(0.46 mg/L、區(qū)分2の範囲)で肝臓重量増加(雌)、鼻腔の杯細胞の増殖(軽度)(雌)が、1.288 mg/L(0.92 mg/L、區(qū)分2の範囲)で腎臓重量増加、呼吸上皮の過形成、心臓重量の増加(雌)がみられたとの報告がある(がん原性予備試験 (2002))。 (3)ラットを用いた104週間反復(fù)吸入ばく露試験(OECD TG451、GLP、蒸気、6時間/日、5日/週)において、0.161 mg/L(ガイダンス換算:0.115 mg/L、區(qū)分1の範囲)で呼吸上皮の炎癥(雄)、慢性腎癥の発生増加(雌)が、0.644 mg/L(0.46 mg/L、區(qū)分2の範囲)で肝臓重量の増加、腎臓重量増加、慢性腎癥の重度の例數(shù)増加傾向、尿素窒素の増加、膽管増生、鼻腺の呼吸上皮化生(雌)がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結(jié)果 (2005))。 (4)マウスを用いた104週間反復(fù)吸入ばく露試験(OECD TG451、GLP、蒸気、6時間/日、5日/週)において、0.161 mg/L(ガイダンス換算:0.115 mg/L、區(qū)分1の範囲)で細気管支-肺胞上皮増生の発生増加が、0.644 mg/L(0.46 mg/L、區(qū)分2の範囲)で前胃の扁平上皮過形成の発生増加(雌)、鼻咽頭上皮のエオジン好性変化の発生増加(雌)、血小板數(shù)の減少(雌)がみられたとの報告がある(厚労省委託がん原性試験結(jié)果(2005))。
誤えん有害性*
【分類根拠】 データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。