急性毒性
経口
ラットのLD50値として5件のデータ[17 mg/kg(環(huán)境省リスク評価書第4巻(2005))、30および65 mg/kg(EHC 79(1989))、58.8および97.5 mg/kg(ATSDR(1997))]のうち、2件が區(qū)分2、3件が區(qū)分3に該當(dāng)することから、該當(dāng)數(shù)の多い區(qū)分3とした。
経皮
ウサギのLD50値[205 mg/kg(EHC 79(1989)]は區(qū)分3に該當(dāng)し、ラットのLD50値113 mg/kg(EHC 79(1989))]は區(qū)分2に該當(dāng)するため、危険性の高いラットの區(qū)分を採用し區(qū)分2とした。
吸入: ガス
GHSの定義における液體である。
吸入: 蒸気
ラットの4時間ばく露による2件のLC50値[1.66 ppm(EHC 79(1989))および12.2 ppm(PATTY(5th, 2001))]はいずれも區(qū)分1に該當(dāng)する。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(15.8 ppm)の90%より低いので、ミストがほとんど混在しない蒸気として気體の基準(zhǔn)値を適用した。
吸入: 粉じん及びミスト
ラットの4時間ばく露によるLC50値として、4件のデータ[0.65 mg/L、0.523 mg/Lおよび0.447 mg/L(以上PATTY(5th, 2001))、0.34 mg/L(EHC 79(1989))]のうち、2件が區(qū)分2、2件が區(qū)分3に該當(dāng)することから、危険性の高い方の區(qū)分を採り區(qū)分2とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(0.143 mg/L)より高いので、ミストの基準(zhǔn)値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性
ウサギの皮膚に5~20%の本物質(zhì)の水溶液を適用した試験で、強度の刺激性が見られた(NITE初期リスク評価書 86(2008))との報告に基づき、區(qū)分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギを用いた眼一次刺激性試験で、軽度の刺激性(mild irritant)との結(jié)果(EPA RED(2006))により區(qū)分2Bとした。
呼吸器感作性
データなし。
皮膚感作性
モルモットに0.5%の本物質(zhì)を適用したマキシマイゼーション試験において、動物の35%に紅斑がみられ、中等度の感作性との判定結(jié)果(NITE初期リスク評価書 86(2008))に基づき、區(qū)分1とした。
生殖細(xì)胞変異原性
マウスに経口、吸入または腹腔內(nèi)投與による優(yōu)性致死試験(生殖細(xì)胞in vivo経世代変異原性試験)でいずれも陰性(IARC 53(1991))、マウスに経口または吸入投與による精原細(xì)胞または精母細(xì)胞を用いた染色體異常試験(生殖細(xì)胞in vivo変異原性試験)でいずれも陰性(NITE初期リスク評価書 86(2008))、さらにマウスに腹腔內(nèi)投與による骨髄または末梢血を用いた小核試験(體細(xì)胞in vivo変異原性試験)でいずれも陰性(IARC 53(1991)、NTP DB(Access on Aug., 2011))が報告されていることに基づき區(qū)分に該當(dāng)しないとした。なお、in vivo遺伝毒性試験であるマウスを用いた姉妹染色分體交換試験、マウスまたはラットを用いたDNA損傷試験やDNA結(jié)合試験で陰性(IARC 53(1991)、NTP DB(Access on Aug., 2011))、in vitro試験としてエームス試験で陽性(IARC 53(1991)、NTP DB(Access on Aug., 2011))が報告されている。
発がん性
【分類根拠】
(1)、(2)より、動物種2種で悪性を含む腫瘍の発生増加が認(rèn)められ(雄ラットの悪性線維性組織球腫、雌マウスの前胃腫瘍)、動物実験において発がん性の十分な証拠があると考えられることから、區(qū)分1Bとした。舊分類から健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質(zhì)に追加されたため、発がん性項目のみ見直した(2021年)。
【根拠データ】
(1)ラット及びマウスを用いた80週間混餌投與(投與期間終了後ラットは30週間、マウスは12~14週間観察後にと殺)による発がん性試験において、ラットの試験(0、150、1,000/300 ppm)では雄に悪性線維性組織球腫の発生率の用量依存的な増加が認(rèn)められた。しかし、雌ラット及び雌雄マウスには腫瘍の有意な増加はみられなかった(厚労省初期リスク評価書 (2013)、IARC 53 (1991)、ACGIH (2014))。
(2)ラット及びマウスを用いた2年間強制経口投與(5日/週)による発がん性試験において、ラットの試験(雌雄:0、4、8 mg/kg/day)では雄の膵臓腺房細(xì)胞腫及び単核球性白血病、雌の乳腺の線維腫と線維腺腫を組合せた乳腺腫瘍に用量依存的な発生増加が認(rèn)められた。NTPは雄ラットでは発がん性のある程度の証拠、雌ラットでは不確かな証拠が得られたと結(jié)論した。一方、マウスの試験(雄:0、10、20 mg/kg/day、雌:0、20、40 mg/kg/day)では、雌雄とも前胃の乳頭腫に用量依存的な増加がみられた。雌の40 mg/kg/dayでは前胃乳頭腫発生率は対照群と比べて有意な増加を示し、2/50例に扁平上皮がんもみられた。NTPは雄マウスでは発がん性のある程度の証拠、雌マウスでは明らかな証拠が得られたと結(jié)論した(TP TR342(1989)、厚労省初期リスク評価書 (2013)、IARC 53 (1991)、ACGIH (2014))。
(3)本物質(zhì)は厚生労働省化學(xué)物質(zhì)による健康障害防止指針(がん原性指針)の対象物質(zhì)である。なお、IARCでグループ2Bに追加されていることががん原性指針の対象物質(zhì)の指定根拠である(令和2年2月7日付け健康障害を防止するための指針公示第 27號)。
(4)國內(nèi)外の評価機関による既存分類結(jié)果として、IARCでグループ2Bに(IARC 53 (1991))、日本産業(yè)衛(wèi)生學(xué)會で第2群Bに(産衛(wèi)學(xué)會許容濃度等の勧告 (2021):2001年提案)、EPAでSに(EPA OPP Annual Cancer Report (2020):2000年)、ACGIHでA4に(ACGIH (2014):2000年提案)それぞれ分類されている。
【參考データ】
(5)ACGIHは(1)、(2)を含めた試験結(jié)果を評価しているが、ラットとマウスでみられた腫瘍に一貫性がない、前胃の腫瘍などヒトへの外挿性は不明であるとしてA4に分類された(ACGIH (2014))。
生殖毒性
ラットを用いた二世代または三世代生殖毒性試験において、0.488~0.577 mg/kg/day以上で赤血球と血漿のコリンエステラーゼ阻害が認(rèn)められ、生殖毒性については統(tǒng)計學(xué)的に有意な唯一の影響として、高用量(7.592 mg/kg/day)群で性周期の異常が示された(EPA RED(2006))ことを除き、交配、妊娠、受胎、分娩に関連する生殖の各指標(biāo)および産仔數(shù)など仔の発生に対し悪影響はなかった(ACGIH(2002)、IARC 53(1991))と報告されている。また、ラット、マウスおよびウサギの妊娠期間または器官形成期に経口投與した発生毒性試験、さらにウサギに対しては吸入ばく露した発生毒性試験において、いずれも催奇形性を含む仔の発生に対する悪影響は認(rèn)められなかった(IARC 53(1991)、ATSDR(1997)、EPA RED(2006))。以上より、多世代生殖毒性試験で性機能?生殖能に対する悪影響は見られず、発生毒性試験で子の発生に対する悪影響も認(rèn)められなかったことから區(qū)分に該當(dāng)しないとした。