急性毒性
経口
ラットのLD50値は18240 mg/kg (SIDS (2006))および>5000 mg/kg [OECD TG401、GLP](SIDS (2006))に基づき區(qū)分外とした。GHS分類:區(qū)分外
経皮
ウサギのLD50値は2000-4000 mg/kg (SIDS (2006))に基づき、JIS分類基準の區(qū)分外(國連分類基準の區(qū)分5に相當)とした。なお、ウサギのLD50値は >5000 mg/kg(有害性評価書 Ver.1.0, (2008))との報告もある。GHS分類:區(qū)分外
吸入:ガス
GHSの定義における液體である。GHS分類:分類対象外
吸入:蒸気
ラットのLC50値は >5.6 mg/L/4hr(SIDS (2006))と報告されているが、區(qū)分を特定できないので「分類できない」とした。なお、試験濃度は飽和蒸気圧濃度を超えているが、試験物質を425℃まで加熱して発生した蒸気を動物にばく露したとあり、ミストが混在している蒸気の場合のmg/Lを単位とする基準値を適用した。GHS分類:分類できない
吸入:粉じん及びミスト
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚腐食性及び刺激性
ウサギ3匹の皮膚に本物質原液0.5 mLを4時間にわたり半閉塞適用した試験(OECD TG404: GLP準拠)において、24、48、72時間の観察による3匹の平均スコアは紅斑が1.0、2.0および1.3、浮腫は全て0であり、軽度の刺激性(slightly irritating)との評価結果(SIDS (2006))に基づき、JIS分類基準の區(qū)分外(國連分類基準の區(qū)分3に相當)とした。なお、ウサギの皮膚に本物質の原液または50%溶液を24時間閉塞適用した別の試験では、刺激性指數が原液で4.3/8、50%溶液で2.8/8となり、中等度の刺激性と報告されている(有害性評価書 Ver.1.0, (2008))。さらに、ヒトでは2試験所のボランティア27人および28人に対して本物質0.2 mLを上腕部へ4時間閉塞適用した結果、24、48、72時間後の観察で各々4/27人、5/28人にわずかに皮膚刺激の陽性反応がみられたものの、刺激性物質に該當しないと判斷されている(有害性評価書 Ver.1.0, (2008))。GHS分類:區(qū)分外
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性
ウサギ2匹の眼に本物質原液0.1 mLを適用した試験(OECD TG405、GLP)において、適用後72時間で虹彩炎、軽度~中等度の結膜炎、軽微~軽度の角膜混濁を生じ、軽微な結膜炎が8~15日に3匹全例に観察され、うち2匹は22日の観察期間終了時まで、また、1匹は虹彩炎が22日まで持続し、刺激性あり(irritating)と評価された(SIDS (2006))。また、ウサギを用いほぼ同じ條件で実施された別の試験(OECD TG405、GLP)では、24、48、72時間の観察による3匹の平均スコアが角膜1.7、虹彩0.7、結膜(発赤)2.2、結膜(浮腫)2.5となり、刺激性の総合スコアであるMMAS(AOIに相當)が41.0と報告されている(SIDS (2006))。以上の結果に基づき、區(qū)分2Aとした。なお、ヒトでは化學工場の作業(yè)者の眼に入った労働災害事故で、角膜上皮に一過性の傷害をもたらしたが、48時間後には回復した(有害性評価書 Ver.1.0, (2008))との報告がある。GHS分類:區(qū)分2A
呼吸器感作性
データなし。GHS分類:分類できない
皮膚感作性
データ不足。なお、25人のボランティアによるマキシマイゼーション試験により感作性の証拠は得られず、ヒトに対する感作性物質ではなかった(SIDS (2006))と報告されているが、未公表の要約報告であり、試験方法を含め詳細不明なため「分類できない」とした。GHS分類:分類できない
生殖細胞変異原性
ラットに腹腔內投與による骨髄細胞を用いた染色體異常試験(體細胞in vivo 変異原性試験)で陽性(有害性評価書 Ver.1.0, (2008))の報告があるが、投與量不明、かつ1用量のみ結果であり、用量依存性に関するデータはないと記載されていることから、分類根拠として不十分とみなされるため「分類できない」とした。別に同一著者らによるラットに経口投與した染色體異常試験でも染色體異常の増加が示唆されたが、方法論的欠陥を含む試験のため結果は曖昧である(ambiguous)と結論付けられている(SIDS (2006))。なお、in vitro試験としては、エームス試験で陰性(SIDS (2006))、チャイニーズハムスター肺線維芽細胞(V79)を用いた染色體異常試験ではS9無添加では陽性(有害性評価書 Ver.1.0, (2008))の報告がある。GHS分類:分類できない
発がん性
データなし。GHS分類:分類できない
生殖毒性
生殖?発生毒性試験において、ラットの妊娠6~15日に経口投與した試験で、母動物に死亡、摂餌量の減少および體重増加抑制等の一般毒性がみられたが、母動物および胎児には生殖?発生に関する影響はみられず(有害性評価書 Ver.1.0, (2008))、また、ラットの妊娠1~19日に吸入ばく露した試験では、母體および胎児とも影響がみられなかった(有害性評価書 Ver.1.0, (2008))。以上の結果から、仔の発生に対する悪影響は確認されなかったが、性機能および生殖能に及ぼす影響については明らかではなく、データ不十分なため「分類できない」とした。GHS分類:分類できない
特定標的臓器毒性(単回ばく露)
ラットに5.6 mg/L(蒸気)を4時間吸入ばく露した試験で、喘ぎまたは呼吸促進が観察され10匹中3匹が死亡、ばく露に関連する剖検所見は肺に限定され、顕微鏡的病変としては気管支上皮の壊死、肺胞水腫、うっ血、肺胞出血、気管支上皮の変性および肺胞の過形成が認められており(SIDS (2006))、この濃度はガイダンス値區(qū)分1に相當することから、區(qū)分1(呼吸器)とした。また、ウサギに1~4 g/kgを24時間経皮投與により、ほとんど全例で全身脫力と不活発がみられ、2 g/kg以上で死亡例が発生、剖検で胃粘膜の白色化と多発性巣狀出血、水狀の腹膜液等が観察され、生存例でも胃粘膜の多発性巣狀出血と腹腔內に透明琥珀色の粘液の蓄積がみられた(SIDS (2006))。この胃および腹腔內の異常所見はガイダンス値區(qū)分2の用量範囲であることから、區(qū)分2(消化器)とした。GHS分類:區(qū)分1(呼吸器)、區(qū)分2(消化器)
特定標的臓器毒性(反復ばく露)
データなし。GHS分類:分類できない
吸引性呼吸器有害性
本物質0.2mLをラットに吸引させた結果、數回の呼吸後に10匹中10匹が死亡したことは、本物質の吸引性呼吸器有害性を示すものである(SIDS (2006))と報告されている。また、本物質は炭化水素ではないが、20℃における動粘性率は10.84 (mm2/s)であり、40℃では14 mm2/s以下となることから、國連分類基準では區(qū)分2に該當するが、ヒトに関する情報がなく、JIS分類基準では區(qū)分2を使用しないため「分類できない」とした。GHS分類:分類できない